普段の生活で懐中電灯を持つことってあんまりないけど、持つとつい鏡の前に立って顔の下から照らしたりしてしまうよね、いまだに。

と、今日読み終えた本にそういう場面があったので、懐中電灯あるあるだなーと思った次第だ。



本と鍵の季節
米澤 穂信
集英社
2018-12-14



男子高校生2人が図書委員になったことで知り合い、キャラも視点も違う2人がいろいろな謎を解き明かしていくというお話。
どのエピソードも興味深く読めたし、2人の推理になるほど〜と唸らされたりもした。
そして、2人に謎解きを依頼してきた生徒たちにもなかなかに深いものが潜んでいた。


「ない本」では、図書館を利用したこともなく本には縁のない生徒が、ある本を探してほしいと言ってくるのだけど、その彼が2人の質問に四六判と答える場面がある。
えー、全然本のこと知らない子がなんで四六判なんて知ってるんだろう。これはおかしいよ米澤さん と思ったが、それこそが伏線でそこは最後にちゃんと納得させてくれた。


また、「昔話を聞かせておくれよ」はこの図書委員2人のうちの1人松倉自身の話で、6年前に亡くなった父親が隠したはずのお金を探したいというものだった。
2人で手がかりを見つけ出し、お金の隠し場所を探そうとするのだけど、緊迫感があって引き込まれた。
結末は衝撃的で、読み終えて少しの間、心臓がキュッと押さえつけられた感じだった。

松倉君はどうするんだろう。
堀川君は正しい。
正しいけど、長い年月生きてきて既に心が汚れているおばさんは、いろいろ良からぬことを考えてしまったよ。こわい、こわい。
かなり入り込んでしまった。

こういう感覚は久しぶりだ。

それぞれのエピソードの中で図書委員の2人が交わす会話も興味深く、堀川君が市民プールに行った話の、お父さんの言動に感動した。


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<萩が咲き乱れる季節>



米澤さんの作品は「満願」しか読んでなくて、あれはちょっとホラーっぽい怖さがあったけど、こちらはまた違った趣でおもしろかった。
俄然米澤さんに興味がわいてきたなー。
これからちょっと追いかけてみようかな。






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