2020年最初の1冊は米澤穂信さんの作品。
米澤さんは小説自体に流れる空気がちょっと不気味で、最近興味を持っている作家さんだ。

Iの悲劇
米澤 穂信
文藝春秋
2019-09-26



この物語は6年前に滅びてしまった村に新たに人を呼び寄せようと、市が移住計画を掲げるところから始まる連作短編集だ。

甦り課の職員、万願寺と新人の観山が移住してきた人々の間で起こる小さな衝突や、不思議な出来事を解決すべく奮闘する。

村で起きるひとつひとつの出来事は謎めいていて興味深かった。

読み進んでいくうちに 何か裏があるよな、観山怪しいよね なんて気づいていくのだけど、あんなからくりがあるとは…。

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<ヒマラヤユキノシタが咲き始めたよ 少しずつ庭に色がついてきた>


過疎の村を再興させるというプロジェクトはとても立派に見えるけど、その陰にある現実は希望などではないのではないか、市はますます財政難に陥るのではないか、困ることの方が多いのではないかなんてことも考えさせられた。

スカッと爽やかに終わったわけではなく、残ったのは虚しいという気持ちだったけど、意外とテーマは深いところにあった気がする。





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