久坂部さんは、デビュー作の「廃用身」から何作か読んでいて、尊厳死とか(そのほかは思い出せないけど)、現代医療に問題を投げかけるタイプの作品が多い印象を持っている。
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今回はタイトルから想像して、おかしな話なのかと思ったら、まったくまともで医療について深く考えさせられる話だったわ。
離島にある岡品記念病院に研修医としてやってきた新実一良は、岡品院長の考え方や、この病院の医師たちの治療方針に面食らう。
検査は患者がどうしてもしてほしいというときにだけすればいい。病気はできるだけ見つけないほうがいい。症状もないのに、あれこれ病気をさがすなんてのはよけいなことだ。医療は出過ぎたまねをしてはいけない。
患者が求めていないのに、病気を治そうとするのは、医者の驕りだ。
手抜き医療をしているのではなく、よけいな医療をしないだけだ。
このような考えの院長のもと、一良は島民に対してがん検診、嫌煙運動、認知症対策など、本来医師としてやるべきだと教えられていることを実践していくのだが…。
一良が、岡品院長の考えと、医師としての既成的な正義感の間で揺れ動くのも、読者、というか患者の家族の立場からすると共感できるし。
結局、一良が院長の考えを信念をもって受け入れたようには思えなかったので、最後に岡品記念病院の医療を東京に戻って広めたいと言ったのにはちょっと違和感があったなー。
「東京でふつうに働きたいなら、ここの医療は全部忘れたほうがいいぞぉ」と叫んだ院長が正解なのではないか。
あと、些細なことだけど、一良が初期研修を受けた最高レベルを誇る白塔病院、なんだか白い巨塔をイメージしてるみたいで個人的にウケたよ。
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♪今日も栞子のひとりごとにおつき合いくださって、ありがとうございます♪
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